まんなかに戻る日
春分。
昼と夜の長さが、ちょうど同じになる日です。
どちらかに偏ることなく、光と影が、きれいに釣り合う。
この“ちょうどいい”が生まれる瞬間に、私はいつも「整う」という言葉を思い出します。
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私たちは日々、少しずつ偏っていきます。
頑張りすぎたり、
我慢しすぎたり、
誰かに合わせすぎたり。
気づかないうちに、自分の中心から、少しずつズレていく。
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「整える」というと、
何かを足したり、変えたり、頑張ったりすることのように聞こえるけれど、
本当はそうじゃないのかもしれません。
整うというのは、何かを加えることではなく、“真ん中に戻ること”
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刺し子も、よく似ています。
図案を考えるとき、どこに中心を置くかで、全体の印象が決まります。
中心が定まると、不思議と全体が落ち着きはじめる。
逆に、どこかが少しズレると、言葉にできない違和感が残る。
このことについては、この記事に詳しく書きましたので、よろしければご覧くださいね。
春と刺し子
鹿児島では、昼間が20度ぐらいある日も増えてきて、だいぶ暖かくなってきました。
冬の間は家にこもりがちで、あまり外出したいという気にもならない日が多かったのですが、
この時期ごろから急にソワソワ、おでかけしたいなぁ、誰かと会いたいなぁと気持ちになってきました。
植物が芽吹くように、わたしのエネルギーも広がりたいと言っています。
それと同時に、気分もふわふわしてのぼせ状態になりやすい気もします。
針を持つ。
糸を通す。
一針、また一針。
その繰り返しの中で、自分の中心に、静かに還っていく。
春のおでかけに、かごバッグ
春になると、なぜかかごバッグを持ちたくなります。
東洋医学では、春は「木」の季節。
のびる、動く、外に向かう、そんな性質を持つ時期です。
竹や籐、草などでできたかごバッグも、同じように「木」の気を持っています。
風を通し、軽やかで、揺れる。
(冒頭の写真は、鹿児島の竹のかごバッグです。義父が作りました。)
だからかごバッグは、
気を外へ流し、巡らせるような性質があります。
一方で春は、気が上に上がりすぎて、
なんとなく落ち着かなかったり、そわそわしたりしやすい季節でもあります。
今回の刺し子のかごバッグクロスは、
そんな春の揺らぎの中で、
そっと手の中に重さを戻すような存在として作りました。

風を通すかごバッグの中で、
ひと針ひと針の時間が通った布が、
少しだけ、気を整えてくれる。
使うたびに、少し整うようなもの。
そんな存在として、手に取ってもらえたら嬉しいです。
三越手芸出品作品です。
大一枚・小一枚のみ。
3/20 21:00-3/27までの限定販売です。

追記 中心を重んじるのは、刺し子だけではありません。
日本の家紋も中心から放射状、または対照に配置する特徴があります。
欧州の紋章は積み上げ式であるらしいです。
西洋の紋章は、歴史や功績を『外へ、上へ』と積み上げていく美学。
対して、日本の紋や刺し子は、一つの中心から『内なる秩序』を広げていく美学。
面白いですね。
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