先日、SNSのフォロワー様よりこんなご質問をいただきました。
刺し子は刺繍と何が違うのでしょうか?
確かに、きれいな糸を生地にチクチクして何かきれいな模様を作り上げていく。
共通点もたくさんありそうだし、なんとなく違うかな?とわかっていても言語化するのは難しそうです。
今回は、刺し子と刺繍について深堀りして言語化してみたいと思います。
まず、刺し子とは何かのおさらい
刺し子は、生地の補強や防寒を目的とするものです。
今から500年ほど前に日本で生まれました。
当時とても貴重だった綿製品をできるだけ長持ちするように、そして厳しい寒さから身を守るために先人が編み出した刺繍の技法です。
「実用目的」で生まれたという歴史が、刺繍と大きく違います。
詳しくはトップページの「刺し子とは・・」をご覧くださいね。
では刺繍とは
広くは糸,紐,リボンなどを,布および皮や編み地などの表面に,針を用いて刺したり留めたりして構成する造形,またはその作品。
その起源は古代エジプトに始るといわれる。
またローマ時代後期から,尼僧たちの手工芸として盛んに行われ,多くは聖書中の物語やキリスト教をテーマにした衣服や祭式用品,各種のおおい物の装飾が刺繍されていた。
東洋においては,中国周代にその技法があったといわれ,インド,中央アジア,日本などで古くから現在にいたるまで,ヨーロッパ風の刺繍とやや異なった技法の刺繍が発達している。
日本では正倉院に唐代の手法を示すものが現存し,中宮寺の『天寿国繍帳』は有名である。日本刺繍,小裂刺 (こぎんざし) ,絽刺などがある。
フォロワー様からたくさんご回答いただきました
この疑問について、刺し子を愛するフォロワー様からもご回答を募ったところ、
たくさんの考察をいただいたのでご紹介しますね^^
実用性と装飾性
前述したとおり、刺し子が実用目的から生まれたこと。
刺繍は宗教と関連が深い装飾品の歴史を持つこと。
これらの歴史からも、刺し子は実用性、刺繍は装飾性に大きな違いがあるようです。
ただ、現代の刺し子においては実用目的というより糸の色や柄のデザインに惹かれて始められた方が多いと思います。そういう点では、装飾目的である刺繍に近づいてきているようですね。
発祥の歴史
刺繍は遡ると古代エジプトから。
日本も大和時代に中国から刺繍文化が流入しましたが、これらは主に仏教と密接な関わりを持っていて聖職者や身分の高い貴族のためのものであったと言われています。
刺し子はその流れとは別に、江戸時代、藩の奨励により麻の栽培を余儀なくされ(寒い地方では綿栽培に不適)、農民は木綿や高価な色染めの着物を着ることを禁じられました。
目の粗い麻生地は津軽地方の厳しい冬を過ごすのには向いていない。そこで、寒さを凌いで生地を補強するという物資のない中での庶民の生活の知恵の結晶であると考えられます。
技法
刺繍は技法がたくさんあります。
ウクライナ刺繍では、数百も技法があるといわれています。
装飾性が追求されてきた歴史が物語っていますね。
現代では、立体的なスタンプワーク刺繍や3D刺繍も流行っていて芸術としてどんどん進化している感じがします。
一方、刺し子はこぎん刺しも「面を埋める」一面があるのですが
面を埋めるにしても、線を描くにしても、そのほとんどを「なみ縫い」で行っているところが特徴だと思います。
機械化が進みやすいか否か
刺繍は今やパソコンでデータ化したものをミシンで自動的にバーっと縫うことができますが、
刺し子のなみ縫いは単純だけどなかなか機械化が進んでいないような気がします。
ですが刺し子の機械化については、その後フォロワー様より追加情報をいただきました。
なんと、刺し子ができるミシンがあるというのです!
その名も、ハンドステッチミシンSashiko Ⅱ
まるで、手で縫ったようななみ縫いの縫い目を表現する刺し子風ミシン。
パッチワークなどにも。ということらしいです。
すごいですね。。。
しかし、やはり、手縫いの温もりは手縫いだけである。ということが言いたいかな、と思ってしまいました 汗
刺繍も、やはり手刺繍の温もりを大事にしている方がたくさんいらっしゃいます。
そこは、刺し子愛好家も刺繍愛好家も同じ思いなのだろうと思っています。
まとめ
刺し子と刺繍は、その歴史は明確には違えど、
進化する中で融合していった面も多いと考えました。
そして、手で生地や糸に触れることである種瞑想や癒しのような感覚を味わえることも
刺し子や刺繍に共通するからこそ、愛されてきたのだと思いました。
刺し子と刺繍の違いは、人の数だけ考え方がありそうでとても興味深いテーマでした。
みなさんも、これが違うのでは?というご意見、ぜひお聞かせくださいね。
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