刺し子の新刊が出ました。
その名も「お祝いの刺し子」。

著者のちえさんはSNSで仲良くさせていただいていて、お姉さんのような存在です。
インスタグラムでは、ちえさんの作られる図案への思いやその時のお気持ちなどを頻繁に発信してくださるのですが、SNSはアーカイブ機能が弱く、その時その時瞬間に伝えてくださったこともその他たくさんの投稿に次から次と流れてしまい、、今回その思いが一冊の本にまとめられていて、やっぱりどっぷり思いにつかれる書籍っていいなあと感じました。
特に、「母心」という作品は、母親の子どもに対する愛情をとても感じて胸がつまりました。
ともすれば狂気とも感じられるこの細かさ。子に対する愛情もある種の狂気を孕んでいると、子どもを持ってわかりました。だからこそ、、すごく共感できます。
そして、ちえさんの独特の刺し子の表現と方法について。
刺し子に限らず、昨今の手芸本は世の中の流れ的にいかに大勢の層に気軽に作れそうと思ってもらえるか、
読者さんの「わかりにくい」をなくすかに注力した、手軽な小物を中心とした丁寧なわかりやすいレシピが多い印象です。
そして、刺し子も、刺し子の定石はこう。正しいやり方はこう。という、読者さんにいかに迷いなく作ってもらえるかに注力されて編集された本が多い気もします。
刺し子は糸始末一つとっても色々な局面で始末の最適な方法が違ったり、さまざまな市井の日本人女性によって、流派とか関係なく、伝承されたやり方があって、決まった「型」のない技法なゆえ、刺し子を始めたのはいいけど結局正しい方法がわからないなあ、と悩まれている方も多いような感じがします。だからそうゆう方にとって、よりどころとなる手芸本は統一感があることが大事なのだろうし、そのほうが読みやすいし、挑戦しやすい。
というのはとてもわかります。
でも、本当にそのことが「最重要事項」なのだろうか。
この本をみて、作りやすい手芸本が最適解なのかどうか疑問を感じずにはいられませんでした。
作者の思いやストーリーを記し、著者独自のオリジナル作品にこだわり、「あなたもこれと同じものを刺したくなったのなら、作り方はこれよ」というスタンスで出来ている本も凛としていてとても素晴らしいと感じました。
刺し子を愛し、本気で手芸を愛する人は「こんな手芸本が見たかったのよ」と膝を打っている方が多いのでしょう。なぜなら私もその一人だから。
私もいずれ、そんな自分の魂をぶつけられるような刺し子本を出版してみたいと思いました。
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