失敗しても、替えのきかない布を縫うということ

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先日、洋服のパターンのお仕事をされていた方に、ポーチの仕立て方について尋ねられました。

「刺し子をした布を、どうやってポーチに仕立てているんですか?」

私のポーチは、まず型紙より少し大きめに布をカットし、そこに刺し子を施してから、型紙に合わせて裁断し、縫製しています。

刺し子をすると、糸の張力によって布が縮むためです。

そう説明すると、その方は驚かれていました。

刺し子を施した大きな布があって、そこから型紙に合わせて必要な部分を切り出していると思っていたそうです。

なるほど、そういう作り方も考えられます。

でも、一枚の大きな布に隙間なく刺し子をするとなれば、それはそれで相当な手間がかかります(^^;;

私の場合は、一つのポーチのために、一枚の布を刺していきます。

つまり、刺し終わった時点で、その布はすでに何時間もの手仕事が積み重なった、替えのきかない一枚になっているのです。

その方は、こうおっしゃいました。

「そういう一点ものの生地を縫うときは、手が震える」

この言葉が、とても印象に残りました。

私自身、ポーチを仕立てるときは毎回、かなり気を張っています。

刺し子を終えた布にハサミを入れ、ミシンをかけ、口金に収める。

もし失敗すれば、同じ布をすぐに用意することはできません。

もう一度、最初から刺すしかない。

だから、仕立ての工程では自然と慎重になります。

でも、それは自分にとってあまりにも当たり前のことだったので、特別なことだとは考えていませんでした。

洋服づくりに携わってきた方の「手が震える」という言葉を聞いて、初めて腑に落ちた気がしました。

ああ、私が毎回感じていた緊張感は、そういうことだったのか、と。

ものづくりをしていると、自分にとって当たり前のことが、誰かにとっては驚きになることがあります。

そして、その驚きを通して、自分でも気づいていなかった仕事の一面が見えてくる。

今回の会話は、そんな発見をもたらしてくれました。

完成したポーチからは見えない、制作の途中にある緊張感。

それもまた、この小さな作品を形づくっているものなのだと思います。

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