刺し子を好きになった、その先へ
趣味で楽しんでいる刺し子の世界をもっと深く知りたいと思った時。
わたしのこのやり方、これであってるのかな?と思った時。
インスタで見た素敵な作品を、自分も作れるようになりたいと思った時。
作家として活動したいけれど、オリジナリティのある作品をどう生み出せばいいのだろうと思った時。
あなたは、どうしますか。
誰か詳しい先生に習いに行こうと思うかもしれません。
私はこれまで何度か講座の講師をさせていただいてきました。その中で感じたのは、初めての方向けのワークショップはたくさんある一方で、「もっと深く知りたい」「自分で考えられるようになりたい」という人に向けた講座は意外と少ないということでした。
刺し子を好きになったその先。図案をなぞるだけではなく、自分で組み立てられるようになりたい。技術だけではなく、その先にあるものを知りたい。
そんな方のための講座があってもいいのではないか。そう考えるようになりました。
どんな変化を提供するのか

ただ、「小さな刺し子作品を作ってみよう」「簡単に作れます」という講座とは少し違います。
しっかり考えなければいけないことがありました。
それは、来てくださる方にどんな変化を提供するのか、ということです。
例えばダイエットなら、「5kg痩せる」「ウエストが何cm細くなる」という変化があります。これは定量的な変化(目に見える変化)です。
では、私の刺し子講座はどうだろう。
考えてみると、もちろん定量的な変化もあります。受講前は図案を作れなかった人が構成のノウハウを習得する。疑問に思っていた刺し方のコツを直接聞ける。自分では気づかなかった改善点が見つかる。これは確かに大きな価値です。
でも、それだけだろうか
図案が作れるようになる。構成の考え方がわかる。そうした目に見える変化だけではなく、目に見えない変化もあるのではないか。つまり、定性的な変化(感覚や見方の変化)です。

私が講座で本当に伝えたいものは、そこにある気がしています。
例えば私は教室で、「美しい針目にはどうしたらいいですか」という質問をよく受けます。もちろん、針目を揃えること、布目をよく見ること、図案に合わせて針目を調整すること。そういった技術的な話もします。
でも、そのあとに必ず「それが正解ではない」という話もします。
なぜなら、美しさは誰かから与えられる答えではないからです。
観察するということ
同じ麻の葉でも、「麻の葉が刺せるようになる」ことと、「なぜこの麻の葉に惹かれるのだろう、と観察できるようになる」ことは違います。
同じ作品を見ても、ただ上手だなと思うことと、どこに心が動いているのかを見つめることは違います。
私は技術を教えているようでいて、本当は観察の仕方を伝えているのかもしれません。
もしかしたら私の講座で起きる変化は、定量的な変化(目に見える変化)だけではないのかもしれません。
模様の見え方が変わる。線の見え方が変わる。「なんとなく好き」が少しずつ言葉になる。「なんとなく違う」が少しずつ見えてくる。そして、自分の感覚を観察するようになる。
そうした定性的な変化(感覚や見方の変化)も起きているように思うのです。
私は何を教えているのだろう
だから最近思うのです。
私は刺し子を教えている人なのだろうか。
もちろん教えてはいるのですが、それだけでは説明しきれない気がしています。むしろ、見る力を育てる人に近いのかもしれません。
模様を見る。
線を見る。
構造を見る。
そして、自分が何を感じているのかを見る。
そう考えると、刺し子は技術である前に、ひとつの観察なのかもしれません。
作品にも同じことが起きている
そして面白いのは、これは作品にも共通していることです。
作品を買うことで壁に布が一枚増える。それは定量的な変化(目に見える変化)です。
でも実際には、部屋に「美しいもの」が増える以上のことが起きている気がします。模様の見え方が変わる。世界の見え方が少し変わる。立ち止まる時間が生まれる。
これは定性的な変化(感覚や見方の変化)と言えるのかもしれません。
そんなことを最近考えています
そう考えると、私が提供しているものは刺し子なのに、本質は刺し子ではないのかもしれません。
技術ではなく、作品そのものでもなく、見ること。
観察すること。
そんなことを最近考えています。
お知らせ
そんなことを考えていたら、この秋、日本橋三越カルチャーサロンで講座をさせていただくことになりました。
今回の講座は、作品をひとつ完成させることを目的にしたものではなく、図案の構造や考え方に触れながら、自分で組み立てる視点を育てる内容です。
超少人数制での開催となりますので、お一人おひとりとお話ししながら進められたらと思っています。
開催日は2026年9月18日です。
講座の詳細は6月1日より三越カルチャーサロンオンラインに掲載されます。
【講座詳細はこちら】
また、お申し込みは6月7日午前10時より開始となります。
もしこの記事を読んで、
「もっと深く知りたい」
「自分で考えられるようになりたい」
そんなふうに感じてくださった方がいらっしゃいましたら、詳細をご覧いただけたら嬉しいです。



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