

均衡から、少し外れた麻の葉。これらの作品は、伝統が積み重ねた「完璧さ」を一歩踏み出した場所で何が生まれるのか、を問うています。
伝統的な麻の葉が美しい理由
伝統的な麻の葉は、構成がとても美しい。ただ美しいだけではなく、「完璧」なんです。
糸運び、布への負荷、身体の動きまで含めて、全てが均衡を取っている。
- 蜂の巣
- 雪の結晶
- 結晶構造
- 植物の配列
みたいな、自然界の“効率の良い均衡”と近いんですよね。
本当に、すごいです。
この模様を刺したらより実感がわきました。
技法が変える、制作体験と鑑賞体験
均衡を崩すという同じアイデアでも、技法によって体験は全く違う。
一目刺しで麻の葉を崩すと、崩れるほどに一目が大きくなり、刺していても気持ち悪さがある。日常の刺し子から大きく逸脱し、実用的でもなくなる。わたしの感覚は「整わない」と叫んでいます。

この違和感は、単なる好みの問題ではありません。長い時間をかけて洗練された伝統柄は、視覚だけでなく、刺しやすさや布への負荷まで含めて均衡している。だからこそ、その均衡を外したとき、まず刺し手の身体が違和感を覚える。「気持ち悪さ」とは、身体が均衡の崩れを認識している証です。
でも、完成してInstagramに上げると、意外に好評で。「着物の総絞りみたいだ」という感想もいただいたんです
。制作者にとって気持ち悪いものが、鑑賞者には新しい美しさに映る。刺し手は身体で感じ、鑑賞者は視覚で見る。成立条件が違う。
模様刺しで麻の葉を崩すと、どんなに崩しても刺している時に違和感がない。

「外れた場所」を探ること
伝統を尊敬しているからこそ、その均衡から少し身を引く。どちらも、中心へ向かうほど、柄の密度が増していく構造。中心へ力が集まるように構成しています。
その外れた場所で何が起こるのか——そこを探っています。
布に生まれる張力
刺していると、布にも独特の張力が生まれる。
ただ整っているだけではない。内側へ引かれていく感覚。
完璧な繰り返しとは違う、緊張感が走ります。
静かに定着する緊張感
額装すると、その緊張感が静かに定着しているように見えました。
伝統柄が長く愛されてきたのは、繰り返しの中に「気が整う」感覚があるから。では、完璧さを手放したとき、何が残るのか。
この作品に纏わせたのは、「整う」のすぐ隣にある、内なる力。完璧ではなく、緊張している状態。均衡からわずかに外れ続けながら、それでもなお崩れない。その静かな力を、この作品に留めたかった。
テキスタイルアート

55cm × 55cm
cotton 100% / indigo dyed thread 藍染刺し子糸

19cm✖️19cm
cotton 100%/ ダルマ家庭糸(青竹)
※使用材料
大判布
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19センチ正方のもの
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